ゲームブック「ネイキッドウォリアー」の解析が終わりました。
『ドキッ! 裸だらけのレース大会(コロシもあるよ!)』というインパクトが、自分は逆に冷めてしまったのと、
主人公の参加目的が分からず、後出しで情報が出てくるので、プレイ開始時は困惑しまくり。
こんな理由から、主人公への感情移入は最後までしないままクリアしました。
そういえば、「ブラッド・ソード」の1巻は、なぜパトロンを探す必要があるのか、なぜダンジョンがあってそれに挑むのか分からなくて、乗れないまま遊んでおり、評価は低いです。
(先にいっとくと、「ネイキッドウォリアー」はめちゃくちゃ面白かったです)
「ネイキッドウォリアー」は、はじめは裸ですが、途中で得られる装備によって展開が進めやすくなる(逆に不利にもなる)、よく練られた作品です。
S・ジャクソンの「サイボーグを倒せ」は、はじめに4つの能力のどれを選ぶかによって攻略ルートが変わる傑作ですが、「ネイキッドウォリアー」はそれをたった100パラグラフで、装備の管理のみで行っています。
(ちなみに、装備は、武器・体、足の3部位)
(さらにちなみに、「サイボーグを倒せ」の解析は、
「ウォー&ロックCHRONICLE.8」(たぶん)でフローチャートも交えて解説していますので、ご一読あれ)
まず、レース(正式名称は「トライアル」)に勝利すること自体が難しい。
装備はわりとすぐに手に入ります。
ですが、装備によって有利不利の場所が変わり、また、見つけた装備をあえて置いていくという選択も可能なので、シンプルな構造のわりに考えることが多いです。
ようやく、トライアルに勝利すると、その先でエンディングの分岐があるのですが、
これまでに入手した装備によって天国か地獄かが分かれます。
トライアルに勝利するには、必要な装備もあれば失う装備もあります。
というか、よく失います。
その失いやすい装備が最後に必要になるので、
どうやってその最後まで持ち運べるか、うんうん考えてルートを見つけるのが楽しい。
エンディングは大きく5つありますが、序盤で手に入れた装備によって見られるエンディングはほぼ固定されます。
ちなみに、ドレスという装備品がありますが、これ、ドレスが必要なエンディング以外に、合計3つのエンディングを見ることが可能なのでお試しあれ。
ちなみに、序盤でローブを手に入れるルートが1番難しいと思う。
(次点でプレートメール)
長々と書きましたが、一言でいえば、ルート探し面白い!
そんなゲームブックです。
ちなみに、ぜろさんが「ネイキッドウォリアー」のリプレイを書いていますが、
自分とは似て非なるルートで遊んでるのが面白い。
ぜろさんは正解ルートを見極めるのが早いので、死んだ回数のわりに選んでいる選択肢が少ない。
自分は脳死で、以前は選ばなかった選択肢を進む派です。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1976956197&owner_id=7076225
作者のちゃなさんが「ネイキッドウォリアー」のチャートを公開していますので、詰まったかたはどうぞ。
http://chanagame.hateblo.jp/entry/2017/06/11/104817
以下は重箱の隅をつつく、気になったところです。
装備品の管理が、用語がちゃんと指定されておらず、全体的に分かりにくかったです。
装備品は、まず見つけたときに「片刃の剣」といった見た目で表現し、
実際に手に入れると「ファルシオン」というように名称が判明しますが、どちらで管理していいか迷いました。
(武器は入手前の見た目が、体や足は入手後の正式名称で管理していることが多かった)
レザーアーマーとスタテッドレザーが別扱いなのが分かりにくかった。
弓矢の、矢の本数を覚える必要があるのか迷った。
(必要なかった)
パラグラフ20で最終的に入手できる装備品がどれとどれなのか、分かりにくかった。
とある装備品は、ヌルヌルしているのとしていないので違うアイテムだと思った。
自分はバグだと思ったのは以下。
・パラグラフ67
87→59
・パラグラフ93
59→87
ネタバレになりますが、装備が5つ残っている時点で、あいつが追いついてパラグラフ87の展開になるのに、
装備が3つしか残ってないパラグラフ93で、59で手に入る装備が残ってるのは違和感があるため。
あいつの移動速度なら、93の前に主人公より速く到着し、
この時点で59の装備はなくなってて、違う装備が残っていると思っています。
致命的なバグではないですが、パラグラフ84の分岐で足に何を装備しているかが確定していますので、
その先の72で同じことを訊く必要がありません。
実質、72から21へ進むことはないです。
終盤で住宅街(84)や細い道(74)に行けますが、描写がなくいきなり条件分岐になってしまい、状況が分かりません。
特に、細い道は住宅街と似た結果になるので、なぜ、こうつながるのか説明がないのが残念でした。
ゲームブックにとって状況描写は最重要項目ですので、ただの判定のみのパラグラフは寂しいです。
あとは細かいですが、以下のせいでちょっと文章が読みにくかったです。
・電子書籍なのにパラグラフごとに改ページしていない
(kindleは特に、ページもどりをするとレイアウトが崩れるので読みにくい)
・「!」や「?」の直後に全角スペースがない
と、欠点を指摘はしましたが、致命的なものはなく、とても面白いゲームブックでした。
パラグラフ100の最後の文章は計算されつくしており、思わずにやけてしまいました。
(そして、これはちゃんと解析しないとダメだ、ってなってフローチャートを書いた)
デッドエンドパラグラフの13、21、25、30、62を、
全然違うシーンで上手く再利用しているのも美しいです。
重くないけどカンタンでもない、歯ごたえのある良作ですので、お試しあれ。