2014年10月27日

ゲームブックはなぜ、衰退したのか2014

なぜゲームブックは衰退したのか?
ゲームブック者の間で何度も話題になるこの問題。
自分も以前、ブログで出版社の力不足を挙げた。

http://parahaza.seesaa.net/article/3251598.html

ただ、気が変わって、いまならこうかな、と。

「ゲームブックは安すぎた」

ゲームブックは文庫で登場した「火吹山の魔法使い」がヒットしたこともあり、他のレーベルも文庫で登場することが多かった。
メインターゲットの年齢が低く、値段も400円前後からと、マンガとほぼ同じ値段で買えた。
「ウィザーズ・クエスト」や「魔城の迷宮」は、文庫で600ページ前後あるのに、720円や790円という破格の安さ。
新書でもJICCの作品は500円だったし、当時の同じ版型の小説と比較しても安かった。
「ドラゴンファンタジー」だって、あれだけ付録がついて690円だった。
しかも、ゲームブックは挿絵が多いので、イラストのコストも大きい。
(買い叩かれてた可能性もあるが)
ゲームブックを何度も読み返してボロボロにした人も多いだろうが、その原因のひとつは紙の質の低さで、これはコスト削減の一環であろう。

このコスト削減の割を一番食っていたのは編集者ではないだろうか。
小さな出版社の編集者は、本の企画立案、原稿依頼、推敲、レイアウト、校正、印刷所の手配など、さまざまな業務をこなす。
ゲームブックの場合、そのほかに、バグがないか、ゲームとして面白いか、遊びやすいレイアウトになっているか、などを判断する知識が必要になってくる。

(遊びやすいレイアウトとは、1パラグラフがページをまたいで読みにくくなってないか、似たパラグラフが続いて読者が事故らないか、などを考慮して、改ページを入れたり、パラグラフを入れ替えたり、文章を増減して調整するもの)
(コストの関係から、どうレイアウトを工夫して収めるか、どうパラグラフを削るか、どう文章を削るかなどの悩みもあるだろう)

編集だけできる人、デバッグだけできる人はいる。
だが、ゲームブックに適した、両方ができる人となると、ほとんどいなかったのではないか。
ブームでゲームブックの生産密度がもっとも濃かったときは、刊行数に比例してバグが多いだけでなく、致命的なバグや、1冊の中のバグの多さも目立っていた。

ゲームブックは安い

編集者のコストが足りなくて、作品の質が下がる

ゲームブックが最盛期ほど売れなくなる
(単純に数が多すぎて、1作あたりの売り上げが下がった面もある)

本の売り上げと制作コストが見合わなくなる

儲からないゲームブックを出す必要がなくなる


デジタルゲームの場合、色々なパートの分業がしっかりしている(ものが多い)。
デバッグやバランス調整だけをする会社もある。
デジタルゲームが粗製乱造になっても廃れなかったのは、この分業がしっかりしており、なんだかんだ、コストに見合った作りをしているから。

逆にいえば、ゲームブックは手間の割りに安く売られており、コストに見合ってないのだ。
ゲームブックは「火吹山」の値段設定の時点で詰んでいたのかもしれない。

ゲームブックを1冊作るのは、すごく大変なのだ。
これだけは、情熱的なゲームブック作家が、どんなにひとりで頑張ってもダメ。
他人の目による誤字脱字の指摘、より読みやすい文章への推敲、バグの指摘、ゲームバランスの指摘、レイアウト、装丁、それらがなければ、それは作品に昇華できない。
売り上げが見込めるなら、これらは人を増やして分業できる。
売り上げが見込めないから、それらをすべてこなすひとりの編集が必要になる。
ホントにもう、趣味や意地の領域である。

ブックタイプのTRPGのルールブックは、大判化して値が上がった。
ボックスタイプとほぼ同じ値段のものもある。
これで、より赤字になりにくい体制を築いたし、成功しているといっていい。
ゲームブックは復刊も新刊も、そのほとんどは2000円以下で買える。
部数とコストを考えたら、これでも安いくらいではないだろうか。
個人的には、どうせ買う人は限られているのだから、黒字になる値段を設定してほしいと思う。
だからこそ、いまでもゲームブックを刊行してくれる出版社やその編集の方には、それだけでも感謝したい。
posted by ドロシー! at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲームブック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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