2016年05月15日

幻想迷宮書店の今後の展開!

Kindleで精力的にゲームブックを刊行する幻想迷宮書店の酒井さんのインタビュー記事。

「ゲームブックはオワコンなのか ― 「ドルアーガの塔」を電子書籍化した幻想迷宮書店が語る今と未来」

ゲームブック愛に溢れた記事で、本文もゲームブック形式になっているが、
特にビビッときたのは以下。

・毎月1冊刊行。完全新作は年に1冊出していきたい

・6〜7月に「悪夢」3部作を予定している!
・「パンタクル2」や「ティーンズ・パンタクル」、「スーパー・ブラックオニキス」も待っている!


・でも「パンタクル3」は、作者が「もう忘れた」の一点張り

・「隣り合わせの灰と青春」の電子書籍化はベニー松山先生からの提案
(もともと、BCCKSから電子書籍版は出ていた)
・ベニー松山先生以外の小説も予定している








他にもいろいろなことが語られている。

電子書籍のメリット

・ハイパーリンク
・挿絵などのネタバレを踏みにくい
・挿絵を適切なタイミングで表示できる

挿絵に関しては、こんなことも可能かな。
「地獄の館」の41と43は、同じ場所で同じ骸骨男と戦うパラグラフだが、挿絵は41にしかない。
電子書籍なら、同じ挿絵を何箇所に入れてもページのムダ遣いにはならない。
手前ミソだけど、ゲームブック・ラボRの「地獄の館」や「死神の首飾り」は、
複数のパラグラフに同じ挿絵を仕込みました。


ゲームブックがオワコン扱いされている

目を逸らしたいけど、まあ、事実ですよね。
作家さんが新作を書くのに二の足を踏むのも分かります。


酒井さんのゲームブックの出会いは「恐竜探検」

これはちょっと意外。
でも、このシリーズ、ゲームっぽさは弱いけど、読み物として面白いのでオススメです。
特に「海賊の秘宝」はタイムトラベルの妙がよく出てました。



ゲームブックにトドメを刺したのは「弟切草」と「かまいたちの夜」

これだけは全力で否定する。
サウンドノベルが登場したとき自分は、
これでゲームブックのような作品が復活してくれれば、と思っていたから。
つまり、もっと前にトドメは刺されており、サウンドノベルはゲームブックとは因果関係のない、新しいジャンルだった。

また、サウンドノベルが流行ったとき、ゲームブックのような作品は産まれていないことから、
サウンドノベルとゲームブックに親和性があるとは、当時の開発者は考えていなかったはず。

PS1でようやく、ゲームブックを再現したような「ソリッドリンク」が産まれるが、
ジャンルは3DRPGだった。
(ゲームブックのハマリまで再現した――そして、ハマリなのに取り返しがつくシステムが秀逸なので、
中古で見つけたらぜひ遊んでほしい)


ゲームブックの影響を受けた作品は「世界樹の迷宮」や「ドラゴンズクラウン」などがあるが、
デジタルでゲームブックを再現したような新作は、
「蠅声の王」や「Thief and Sword」などのごくわずかしかない。
(ゲームブック自体をデジタル化したものは、いまだに作られているが)



電子書籍でのゲームブックの進化

・ページ数のシバリがない
・ボリュームが(いい意味で)分からなくできる
・パラグラフがいらなくなる

このあたりは賛否両論あると思う。
ボリュームが分からないことに関しては、自分は好きじゃない。
推理小説で、残りのページ数から、そろそろ解答編がはじまるのが分かってしまうのをイヤがる人がいる一方で、
残りのページ数から、そろそろ解答編がはじまるから、与えられた情報で犯人を推理しようと考える人もいるからだ。

パラグラフがなくなるのは個人的には大反対。
ゲームブックはオープンソースで、ソースを勝手に書き換えられる(ズルができる)のもメリットだと考えているので、
電子書籍は、ブラックボックスでない以上オープンソースではあるんだけど、
余計な手間をかけないと解析できないのはすげえ不便。
これじゃ、フローチャートが書きにくいったらありゃしない。

ラノベ「俺が主人公じゃなかった頃の話をするPart3」がゲームブックになっており、
紙ではページ数が指定されておりそこへ飛ぶようになっている。
ページ数がない(というか、文字の大きさが変えられるのでページ数が指定できない)電子書籍では、
選択肢をタップすると先に飛べる、ズバリ、パラグラフがないゲームブックになっている。
……んだけど、これ、読みにくいんだよ。
ゲームのクリアが目当ての作品ならさておき、
ラノベの変形なので、ゲームブックというよりはあくまで小説。
で、全ページ読もうとすると、自分がどこまで読んだか分かりにくい。


最近のアドベンチャーゲームはエンディングリストがあったり、
未読の選択肢が分かるようになったりしているが、
それができない電子書籍でパラグラフをなくしても、
アドベンチャーゲームの真似事をしているだけで、面白さに直結しないんじゃないかな。

なにより、「14へ行け」ができなくなるし。


・活動を続けていくことで“幻想迷宮書店”を知る方が増え、そして購入を検討する母数が増えていく

これはもう、そう願いたい。
ひとりの編集者だけだとキャパシティに限界はあるし、作風も狭まってしまう。
権利は取れなくても、幻想迷宮書店がゲームブックの電子書籍データを、
権利を持っている出版社に提供するサービスはアリかもしれない。



酒井さんの、ゲームブックの今後の展開が分かって、非常に面白い記事だった。
ゲームブック形式の記事や、ライターさんの受け答えから、
ライターさんのゲームブック愛も感じられた。

それだけに、貶めるときにしか使わない『オワコン』ということばをタイトルに使ったのか疑問ではある。
(ことばは水物、意味は変遷していくが、まだ、悪口としての印象が強い)
ゲームブックがいまでも好きな人には気が重くなるタイトルだし、
知らない人は、そもそも流行ってないからオワコンですらないのに、
こんな煽りでクリックしてくれるとは思えないんだよね。
webのプロが、このタイトルがいちばんPVが稼げると判断したのだろうから、
素人がとやかくいうことではないけど、すげえムカついてはいます、はい。

あと、せっかくゲームサイトの記事なのだから、
ゲームブックにはファミコンの作品もいっぱいあったことや、
そして、いまでは公式がストップをかけるような独自解釈が多く存在していたこともツッコんでほしかったな。
posted by ドロシー! at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲームブック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする