かくして、はじめて第1ワープを成功させることができました。
しかし、腑に落ちないのはコロシアムでの隠しパラグラフ。
最後の手段として、すべてのパラグラフを流し読みして、隠しパラグラフを発見しました。
もちろんそれは、表記の方法ではたどり着けない場所。
スラムで「123なら13ってぐあいにな」とあったと表記は、実は「13」ではなく「103」だったのです。
あらためて、ゲームブックではたった1つのバグでも致命的なミスになることが分かりました。
刊行前に気づかなければ、正誤表もつきません。
今と違って、当時はホームページでサポートすることもできませんでした。
ゲームブックのデバッグの手間と、それに反比例するような売り上げを考えれば、ゲームブックの未来もうなずけます。
そんな悪条件の中、復刊がメインとはいえ、酔狂にも現代にゲームブックを復活させた創土社の酒井さんには、ほんとうに頭が上がりません。
こちらは気長に待てますので、焦らずがんばってください。
というわけで、いつもより多く巻き戻して、博物館に入る前からやり直すことにします。
5月23日
コロシアムの模型の中央にある石材をどかしてみた。
と、体が宙に舞い上がると、あたりの景色が見えなくなり、形にならない光に包まれた。
ここは、ねじれた時空間の透き間――
第1ワープ成功だ。
円形闘技場を埋めつくす大観衆のどよめきが聞こえる。
ぼくは、本物のコロシアムの真ん中に立っているのだ。
すぐそばでは2人の剣闘士が戦っている。
1人の兜がはじき飛ばされ、勝者の足元に転がった。
それが、決着だった。
「次は、おまえか」剣を構え、ぼくのほうに向き直った。
ぼくは急いで、ワープロを使った。
だが、またも桐橋の紙切れの指示は受け付けない。
しかし、ぼくは別の方法を知っている。
緊急事態だ。それを試すしかない。
つまり、キーを適当に叩いたのである。
すると、ぼくはふわりと浮き上がり、時空のなじれの中をフワフワと揺れ続けた。
目の前に幽霊都市の映画館が現れた。
しかも、扉が開いている。
これで元の世界へ帰れる、さすがにそこまで油断はしていないが、また、時空のひずみに浮かび上がった。
そこは円形闘技場の大歓声。そこはご用ちょうちん。そこは恐竜の頭。そこはしめ縄のついた巨大な自然石……
ぼくは時空のねじれを彷徨い続けた。
これは、宝石がちりばめられた
短剣ですら断ち切ることのできないレクイエム。
精巧で微妙な装置に、乱暴な操作は致命的だったのだ。
こうしてぼくは、ゆがんだ時空間を彷徨う幽霊となった――
posted by ドロシー! at 01:42|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
悪夢の幽霊都市
|

|